近時、スタートアップ企業などで導入されていた信託型ストックオプションに対する課税については、給与所得(税率最大約55%)となるか、譲渡所得(税率約20%)となるかについて、国税庁と企業との間で見解の相違が生じていました。
信託型ストックオプションは、従来のストックオプションとは異なり、発行のタイミングで割当先を決定する必要がない、創業からある程度期間が経ったタイミングで入社した従業員に対しても、行使価額が低い状態でストックオプションを付与することができる、といったメリットがあることから導入が進んでおりました。
この点について、財務相は2023年5月30日の記者会見において、信託型ストックオプションに対する課税については、一般に企業が役員などに付与する場合と同様に「ストックオプションの行使時」に「給与課税」される旨の見解を示しました。
信託型ストックオプションの導入を見送る企業が増えている中で、かかる財務省の発言を受けて、既に信託型ストックオプションを導入している企業がどのように対応することになるのかが、今後の検討課題となります。
参考 Bloomberg:信託型ストックオプション、行使時に給与所得として課税-鈴木財務相