弁護士コラム

弁護士コラム「売主の表明保証違反への対応」が掲載されました。

2025.03.31

 

毎年3月末は、数多くのM&Aが実行される時期となります。M&Aは検討開始から実行に至るまでの期間が長く、無事にM&Aが実行されると安心する反面、M&Aの実行後、最終契約において規定した表明及び保証(以下「表明保証」といいます。)の違反が生じないか、不安な気持ちになる方もおられるのではないでしょうか。

以前、日本経済新聞の「悪質M&A、表明保証に注意」という記事でコメントさせていただきましたが、売主側が網羅的な表明保証を求められている事案が増えているように思われます。

外部リンク(日本経済新聞):https://www.nikkei.com/article/DGKKZO83929760W4A001C2TCJ000/

そこで本コラムでは、売主側に表明保証への違反が生じた場合に何が起こるか、また、売主としてどのような対応が考えられるかについて解説させていただきます。

 

1. 表明保証違反の発覚

M&Aの実行後に表明保証違反が発覚する理由については、買主が対象会社の状況を自ら確認できるようになることが最も大きなものと考えられます。

買主は、M&Aの実行以前は、売主や対象会社から、質問に対する回答を得ることでしか、対象会社の状況を確認することができない状況にあることが通常です。

しかしながら、M&Aの実行後は、買主側の担当者が対象会社の取締役などに就任し、対象会社に自由に出入りできるようになると、①外部からは確認することが難しい従業員の労働状況、会社の法令遵守体制、あるいは②貸借対照表・損益計算書といった会社の財務書類の誤りについて、買主が直接確認することが可能となります。

その結果、M&Aの実行後に売主の表明保証違反が発覚し、トラブルとなるケースが多く見られます。

 

2. 買主からの補償請求の通知、当該通知への対応

M&Aの実行後、買主が売主の表明保証違反を認識した場合、買主としては売主に対する補償請求を念頭に、売主に対して通知を行うことが一般的です。

通知を行う理由としては、①最終契約において補償請求を行う際には売主に対して(補償請求の理由となる根拠と併せて)通知を行う旨が規定されている場合、これに沿って対応する必要があること、及び②これまでの売主との関係性を踏まえ、いきなり訴訟を提起するのではなく訴訟外で書面により連絡する方が望ましいこと、の2点が挙げられます。

そのため売主としても、買主から表明保証違反に基づく補償請求に関する書面を受領した場合には、無視するよりも何らかの返答をする方が原則として望ましいですが、どのように返答するかは補償請求の理由(として書面に記載されているもの)に影響されるところが大きいため、最終的には個別事案に応じた判断とならざるを得ません。

また、最終契約においていわゆるアンチ・サンドバッギング条項が規定されている場合には、デュー・ディリジェンス等で開示した事実に基づく補償請求が不可となることもありますので、デュー・ディリジェンスの際のQ&Aリストにおける回答なども踏まえて、買主へどのように返答するかを検討する必要があります。

 

3. 表明保証違反が生じないようにするための方策

日本経済新聞の記事でもコメントしておりますが、売主側に弁護士が付いていない場合、買主やM&A仲介会社が作成した最終契約の内容を特に修正することなく締結してしまい、その結果、売主が対象会社について網羅的な表明保証を行ってしまっているケースが少なくありません。

M&Aはリスクを伴う取引なので、売主はリスクを低減するべく最終契約の内容について交渉を行う必要があります。

最終契約のうち表明保証に関連するものとしては、表明保証の対象となる事項の限定に加え、補償請求の金額・期間に制限を設けるといったものが主な交渉ポイントとなります。

 また売主側のアドバイザーとしては、M&Aプロセスの開始前にセラーズ・デューディリジェンスを行い、事前にリスクとなりそうな点を是正しておくことも、表明保証違反のリスクに対する有効な対処法となります。

セラーズ・デューディリジェンスについてはこちらのコラムで紹介しておりますので、詳細については当該コラムをご参照ください。

 

4. まとめ

本コラムでは、M&A実行後の売主の表明保証違反について、ポイントを解説させていただきました。表明保証違反はM&Aに伴う典型的なリスクで、多くの売主が不安に感じられている部分と思われます。そのため、M&Aの実行後に表明保証違反が顕在化するリスクが大きい場合、M&Aを断念される経営者の方も一定数おられます。

当事務所では、大手法律事務所及び証券会社において多数のM&Aをサポートした経験を有する弁護士が、M&Aの実行前における表明保証違反のリスクの低減や、M&Aの実行後の表明保証違反への対応を含め、売主の皆様をサポートさせていただきます。

初回相談は無料で承っておりますので、事業承継・廃業でお悩みの際は、こちらのお問い合わせフォームよりご連絡をいただけますと幸いです。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

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