弁護士コラム

弁護士コラム「医療法人の事業承継」が掲載されました。

2020.12.24

近年、病院・クリニックなどの医療法人について、理事長の跡継ぎ問題をはじめとする事業承継のニーズが高まっております。もっとも、医療法人の事業承継は医療法の規定に則って行われる必要があり、事業承継のスキームも株式会社とは異なる形となりますので、医療法人の事業承継をサポートできる専門家は限られているのが実態です。

当事務所では医療法人の事業承継についてもサポートさせていただいておりますので、本コラムでは医療法人の事業承継の概要について解説させていただきます。

 

 

1. 医療法人とは

医療法人とは、医療法の規定により設立される社団法人または財団法人のことですが、社団法人の形態を取られている医療法人が大半となります。この点で、形式的な意味で株式会社とは異なっていますが、医療法人については剰余金の配当が禁止されるなど、実質的な点でも株式会社とは異なります。

また、社団法人である医療法人については、株式会社でいうところの「株式」に相当する「出資持分」がある医療法人と、出資持分がない医療法人が存在します。これは、2007年の医療法改正により、出資持分がある社団法人としての医療法人が新たに設立することができなくなったためです。

2020年現在では、出資持分がある医療法人(以下「持分あり医療法人」といいます。)の方が多いものの、将来的には出資持分がない医療法人(以下「持分なし医療法人」といいます。)の方が、割合としては多くなるものと見込まれます。

 

2. 持分あり医療法人の事業承継

それでは、持分あり医療法人の事業承継はどのように行われるのでしょうか。

通常は、その医療法人の持分を、後継者に譲渡する手法が用いられることになります。

これは、株式会社の事業承継の場合に、オーナーが後継者に株式を譲渡する手法と似ていますが、医療法人の場合、持分をいくらで譲渡するのか、また理事長の地位をどのように承継させるのか、といった医療法特有の観点からの検討が必要となります。

また、持分を譲渡するのみでなく、理事長・理事への退職慰労金をどう処理するかについても並行して検討し、契約書で明確に規定しておく必要がありますので、弁護士のみでなく、公認会計士・税理士などに財務面からサポートしてもらう必要があります。

なお、持分の譲渡以外の方法としては、合併・分割・事業譲渡といった手法があり、後継者が既に別の医療法人を保有しているような場合には、これらの手法も検討する必要があります。

 

3. 持分なし医療法人の事業承継

次に、持分なし医療法人の事業承継について解説させていただきます。

持分なし医療法人の場合、持分が存在しないため、後継者に持分を譲渡する手法は利用できません。そこで、対象となる医療法人の理事長・理事を、後継者が指名する方に全て入れ替えることにより、事業承継が行われることが一般的です。

この場合、対象となる医療法人の理事長・理事にどのように対価を支払うのか、また退職慰労金をどのように取り扱うかなどを、契約書に規定しておく必要がありますが、特に現在の理事長・理事に支払われる対価が紛争の原因となるケースが多く見られます。

なお、上記以外の方法として合併・分割・事業譲渡を利用できる点は、持分あり医療法人の場合と同様です。

 

4. まとめ

本コラムでは、医療法人の事業承継の概要について解説させていただきました。本コラムで解説させていただいたのは医療法人の事業承継の大きな枠組みで、実際には理事長が個人名義で保有している資産をどう処理するか、合併などをする場合には都道府県知事の認可が必要になるなど、個別のアレンジが必要となり、時間もかかります。

特に地方の医療法人の場合、その医療法人が経営する病院・クリニックが重要な役割を果たしており、事業承継がスムーズに行われなかった場合には地域医療に影響が生じることもありますので、早期の準備をお勧めしております。

当事務所では、事業承継のご相談については初回相談を無料で承っておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

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