弁護士コラム

弁護士コラム「病院・クリニックの閉院手続①」が掲載されました。

2021.01.13

新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの病院・クリニックの経営状況が悪化しています。経営状況が安定している病院・クリニックに対して事業承継される方もおられますが、残念ながら閉院手続を選択される方も増えております。

原則として保健所への届出のみで完了する個人医院の閉院手続とは異なり、病院・クリニックが医療法人の場合には、閉院手続が複雑で、時間がかかってしまう場合も多いため、弁護士などの専門家のサポートを受けた方がスムーズな場合もあります。

そこで本コラムより数回に分けて、医療法人である病院・クリニックの閉院手続について、ポイントを解説させていただきます。

 

1. 閉院手続の流れ

医療法人の閉院、すなわち医療法人の清算手続の大きな流れですが、はじめに医療法人の「解散」を行う必要があります。医療法人は解散により「清算中の医療法人」となり、清算手続に進むことができるからです。

医療法人の解散については、社団医療法人・財団医療法人のそれぞれについて、医療法において以下の解散事由が定められております。

 

・社団医療法人の場合(医療法第55条第1項)

① 定款で定めた解散の事由の発生

② 目的たる業務の成功の不能

③ 社員総会の決議

④ 他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る。)

⑤ 社員の欠亡

⑥ 破産手続開始の決定

⑦ 医療法第66条の規定による都道府県知事の設立認可の取消し

 

・財団医療法人の場合(医療法第55条第3項)

① 寄附行為をもって定めた解散の事由の発生

② 目的たる業務の成功の不能

③ 他の医療法人との合併(合併により当該医療法人が消滅する場合に限る。)

④ 破産手続開始の決定

⑤ 医療法第66条の規定による都道府県知事の設立認可の取消し

 

もっとも、現時点では医療法人の大半が社団医療法人ですので、以下では社団医療法人に絞って閉院手続のポイントを解説させていただきます。

 

2. 一般的な解散事由:社員総会の決議

社団医療法人の解散事由のうち、最も一般的な解散事由は「社員総会の決議」となります。

これは、医療法人において社員総会を開催し、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の4分の3以上の賛成を得て、医療法人の解散を決定するものです。

なお、社員の全員が「退社」すると「社員の欠乏」に該当するため、これにより解散することも可能ですが、この場合、残余財産の分配を受けられないという問題が生じ得るため、「社員総会の決議」による方が望ましいと考えます。

そして、社員総会の決議により医療法人が解散する際の理由ですが、これについては各病院・クリニックの事情に応じて様々なものがあります。院長がご高齢で他の社員の中に後継者がいない、あるいは病院・クリニックの経営がうまく行かないといった理由が多いものの、特殊な事情で解散を選択されるケースもあります。

もっとも、どのような理由であっても、原則として総社員の4分の3以上の賛成を得ることで、社員総会の決議自体は成立します。

 

3. 都道府県知事の認可手続

上記のとおり、「社員総会の決議」により医療法人の解散(病院・クリニックの閉院)を選択されるケースが多いものの、この場合には解散を行うことについて、都道府県知事の認可を得なければなりません(医療法第55条第6項)。

実務上も、この認可の手続が複雑で時間がかかるものとなっておりますので、次回のコラムでは「社員総会の決議」により医療法人の解散を行う場合の、都道府県知事の認可手続について解説させていただきます。

なお、当事務所では医療法人の解散(病院・クリニックの閉院)の手続を税理士とも連携して全面的にサポートさせていただいております。

医療法人の解散(病院・クリニックの閉院)でお困りの場合には、お気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

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