弁護士コラム

弁護士コラム「病院・クリニックの閉院手続②」が掲載されました。

2021.01.20

新型コロナウイルス感染症の拡大により、多くの病院・クリニックの経営状況が悪化しています。経営状況が安定している病院・クリニックに対して事業承継される方もおられますが、残念ながら閉院手続を選択される方も増えております。

前回のコラムでは、医療法人である病院・クリニックの閉院手続のうち、医療法人の「解散」に関して解説させていただきました。

本コラムでは、医療法人が社員総会の決議で解散した場合に必要となる、都道府県知事の認可手続から、清算手続の終了までを解説させていただきます。

 

1. 医療法人の解散と知事の認可

前回のコラムで述べたとおり、病院・クリニックの閉院手続の際には、「社員総会の決議」により医療法人の解散(病院・クリニックの閉院)を選択されるケースが通常です。そして、この場合には解散を行うことについて、都道府県知事の認可を得なければなりません(医療法第55条第6項)。

都道府県知事の認可を得るためには、各都道府県に設置されている医療審議会の審査を経る必要があります。医療審議会の日程は都道府県より異なりますが、年に2回程度しか開催されないこともありますので、事前に審議会の開催スケジュールを確認しておくことが重要になります。

 

2. 医療審議会の審査に必要な書類

医療審議会の審査に必要な書類については、①医療法人解散認可申請書、②医療法人の財産目録・貸借対照表、③解散に関する社員総会議事録、④残余財産処分案などが主要な書類になります。もっとも、提出書類・書類の提出先(保健所の場合が多いです。)は各都道府県により微妙に異なりますので、事前に都道府県の担当者に連絡し、提出書類などを確認することをお勧めします。

通常は、医療審議会の開催日の2か月程度前までに書類を提出した上で、追加で書類の提出を求められる場合にはそれに対応していくことになります。

医療審議会の審査に問題が無ければ、約1か月程度で解散に関する認可書が送付されます。

なお、社員総会の決議で解散した場合、医療法人の解散日は社員総会の開催日ではなく、解散に関する認可書を受領した日という処理がなされているようです。医療法人の解散事業年度の税務申告を行う場合には、この点にご留意ください。

 

3. 清算手続

都道府県知事の認可が得られ、解散の登記が完了すれば、医療法人は清算手続に移行することになります。

清算手続においては、清算人(理事長がそのまま就任されることが一般的です。)が売掛金の回収、買掛金の支払、資産の換価などの手続を行います。

その際に、医療機器や薬品など、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)で規制されているものについては、まだ使えるから、といって他の病院・クリニックに売却することは原則としてできません。これらについては業者に連絡して回収・処分してもらうことになります。

清算手続が進み、医療法人の資産・負債が現預金のみとなれば、残余財産を社員に分配して清算手続を結了することになります。

 

4. まとめ

これまで2回に分けて、病院・クリニックの閉院手続について解説させていただきました。

小規模な病院・クリニックであっても、閉院手続が全て完了するまでには1年弱程度の期間が必要となります。その中で、保有資産の処分や解散事業年度・清算事業年度の税務申告といった特殊な業務も生じてきますので、清算手続をスムーズに進めるためには専門家にご相談されることをお勧めいたします。

当事務所でも医療法人の解散(病院・クリニックの閉院)の手続を税理士とも連携して全面的にサポートさせていただいておりますので、お困りの場合にはお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

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