弁護士コラム

弁護士コラム「事業承継型M&A」が掲載されました。

2021.02.03

事業承継を検討中の経営者の皆様であれば、「事業承継型M&A」という言葉を耳にされたことがあると思います。「事業承継型M&A」は正式な法令用語ではないのですが、中小企業のビジネスを将来にわたって継続する上で重要な言葉になっており、当事務所の弁護士も様々な事業承継型M&Aをサポートしております。

そこで本コラムでは、事業承継型M&Aとは何か、どのような場面で事業承継型M&Aを検討することになるのか、そして事業承継型M&Aのメリット・デメリットについて解説させていただきます。

 

1. 事業承継型M&Aとは何か

まず「事業承継型M&A」の意味ですが、ご親族や従業員・役員への事業承継ではなく、第三者への株式譲渡などのM&Aの手法を用いた事業承継の総称を、事業承継型M&Aと定義することが多くなっています。

従来は「親族外承継」「第三者への承継」などと言われておりましたが、これらの事業承継においてはM&Aの手法を用いることが一般的ですので、「事業承継型M&A」という言葉に転じたものと思われます。

M&A型事業承継」ではなく「事業承継型M&A」という言葉のとおり、客観的にはM&Aとしての要素が強いため、必要な手続・所要期間などの面でも通常の事業承継とは異なる部分があります。

 

2. 事業承継型M&Aが必要となる場面

事業承継型M&Aが用いられる場面ですが、ひとつはご親族や従業員・役員の中に後継ぎが見つからないケースです。このケースでは、何も手を打たなければ会社を廃業せざるを得なくなりますので、事業承継型M&Aを検討することになります。

また、会社の業績が伸び悩んでおり、自力で会社を成長させることが難しくなってきたケースでも、事業承継型M&Aは選択肢のひとつになります。例えば同業種の大会社のグループに入り会社の規模を拡大するため、あるいはプライベート・エクイティ・ファンドに株式を売却して経営の専門家を派遣してもらうため、といった目的がある場合にも、事業承継型M&Aは利用可能です。

さらに、経営者が会社を売却して一定の資産を得て引退することを希望される場合には、事業承継型M&Aの検討をお勧めします。というのは、ご親族や従業員・役員への事業承継では、後継者が資産を十分に持っているケースが少ないため、経営者は株式を手放す対価を十分に得られないことがあるためです。

 

3. 事業承継型M&Aのメリット・デメリット

事業承継型M&Aのメリットですが、後継者を幅広く探索できるのみでなく、後継者(会社が買主となる場合)とのシナジーにより会社の業績を向上させられる可能性が高まる、経営者が株式譲渡の対価を得られる、といったものがあります。

特に会社の成長という観点からは、ご親族や従業員・役員への事業承継の場合でも、ビジネスに変化を生じさせなければ会社が成長することは難しいのですが、前経営者に気を遣ってなかなか既存のビジネスを変えられないケースがほとんどです。この点、事業承継型M&Aでは前経営者と後継者が対等に会社のビジネスについて協議することができますので、新規事業のスタートや不採算部門の構造改革など、会社にとって必要な取組みを行いやすくなります。

一方で、事業承継型M&Aのデメリットとしては、前経営者は会社の経営を自由に行うことができなくなる、あるいは経営から引退することになる、というものがあります。

ご親族や役員・従業員への事業承継では、例えば民事信託などを利用することで会社の経営権を経営者に残したまま事業承継を行うことができますが、事業承継型M&Aでは原則としてそのようなことはできません。事業承継型M&Aでも、前経営者が引き続き20%程度の株式を保有し、経営に関与する場合もありますが、株式の過半数は第三者が保有することになりますので、自由な経営は困難となります。

事業承継型M&Aを実行する場合には、上記のメリット・デメリットも踏まえて、慎重に検討する必要があります。

 

4. まとめ

本コラムでは、事業承継型M&Aとは何か、どのような場面で事業承継型M&Aを検討することになるのか、そして事業承継型M&Aのメリット・デメリットについて解説させていただきました。

事業承継型M&Aでは、経営者はM&Aにおける売主となりますので、通常の事業承継とは全く違った観点からの取り組みが必要になります。

当事務所では事業承継・M&Aを専門とする弁護士が、事業承継型M&Aを最初から最後までサポートさせていただきますので、お悩みの方は当事務所までご相談ください。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

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