弁護士コラム

弁護士コラム「倒産と廃業の違い」が掲載されました。

2021.04.06

2020年から現在に至るまでの新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、倒産・廃業を選択する中小企業が大幅に増えています。特に影響が顕著なのは飲食店・旅行代理店といった業種ですが、アパレルをはじめとする小売業などにも大きな影響が生じています。

当事務所においても中小企業の経営者の方から、業績悪化に伴うスポンサーへの事業の売却、あるいは廃業についてのご相談を承ることが多くなっておりますが、その際に、倒産と廃業はどう違うのか、また自社はどちらを選択すべきなのか、というご質問をいただくことがあります。

そこで本コラムでは、倒産と廃業はどう違うのか、また倒産と廃業の選択はどう行われるのかについて、重要なポイントを解説させていただきます。

 

1. 「倒産」について

「倒産」という言葉は、通常は「破産」とほぼ同じ趣旨で使用されることが多いと思われます。すなわち会社が事業を停止し、裁判所に選任された破産管財人の下で資産を換価し、債権者への弁済を行うなどの、清算に向けた手続を行うことを「倒産」と称することは良く見られます。

もっとも破産のみでなく、民事再生・会社更生も含めて「倒産」という用語が使われる場合もあります。

民事再生・会社更生は、いずれも会社が事業を停止することなく、負債をカットすることで事業の再建を目指す手続です。その意味では前向きな手続ではありますが、金融機関のみでなく取引先を含む全ての債権者を巻き込むことが原則となりますので、事業に与える影響は小さくありません。

そのため近年では、民事再生・会社更生に先立ち、私的整理という形で金融機関のみを対象とした債権カットの手法にチャレンジする企業も増えております。私的整理の場合、破産・民事再生・会社更生とは異なり手続が秘密裏に進められますので、取引先との関係を維持しつつ事業の再建を図ることも可能となります。

 

2. 「廃業」について

次に「廃業」という言葉について考えてみます。店舗の閉鎖を「廃業」と呼ぶこともあれば、会社を清算して法人格を消滅させることを「廃業」と呼ぶ場合もあります。また、ネットニュースのレベルでは「破産」と「廃業」を同じ意味で使っていると見受けられる記事もありますので、「廃業」という言葉も「倒産」と同じように多義的に用いられています。

その結果、「倒産」と「廃業」は完全に一致しないものの、事実上同じ意味で用いられる場面もあることになりますので、イメージとしては下図のようになります。

 

「倒産」と「廃業」のイメージ

 

 

3. 倒産と廃業の違い

冒頭で、当事務所にご相談に来られる中小企業の経営者の方から倒産と廃業の違いについてご質問をいただくことがあると記載しましたが、そのようなご質問をいただいた場合、私は次のように答えることが多いです。

 

会社の資産価値があるものを全て現金にして債権者に弁済し、それでもなお会社に現金が残るのであれば、廃業して残余財産を株主に分配するという選択肢もあります。

 

会社の資産価値があるものを全て現金にしても債権者への弁済額が足りない場合には、破産などの法的倒産手続、あるいは私的整理を行うことも考える必要があります。

 

すなわち、「廃業」は破産に至る前に会社を清算して、株主に残余財産を分配する手続(通常清算)を意味し、「倒産」は破産・民事再生などの法的倒産手続を意味しています。なお私的整理については、最終的に会社を清算する場合もありますが、原則として事業を継続するという意味では「廃業」、「倒産」のいずれにも該当しません。

上記のような回答をさせていただいた上で会社の資産・負債を確認し、どちらを選択すべきなのかを経営者や税理士などと共に検討するのが、通常の進め方になります。

 

4. まとめ

本コラムでは、倒産と廃業はどう違うのか、また倒産と廃業の選択はどう行われるのかについて、重要なポイントを解説させていただきました。

廃業は破産とは異なり、早期に開始すれば株主の手元に一定の資産を残せる場合もあり、必ずしもネガティブな手続ではありません。

当事務所では、破産せずに廃業できるかの検討、また仮に破産した場合の手続などを含め、中小企業の経営方針全体についてアドバイスをさせていただいております。

さらに、スポンサーへの事業譲渡を含めた私的整理も対応しておりますので、会社の資金繰りなどでお悩みの場合には、当事務所までご相談ください。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

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