弁護士コラム

弁護士コラム「事業承継・M&Aと経営委任契約」が掲載されました。

2020.07.17

当事務所に来られる経営者の方から、M&Aや事業承継が行われると、直ちに会社から追い出されてしまうのか、あるいはすぐに引退して自分が好きなことをしてよいのか、というご相談をいただくことがあります。

確かに、M&Aや事業承継が行われると、多くの場合では会社・事業の支配権が経営者の皆様から第三者に移転することになります。しかしながら、最近ではM&A・事業承継の実行と同時に、従前の経営者と新たなオーナーとの間で経営委任契約が締結されることが増えております。

そこで今回のコラムでは、経営委任契約が締結される背景や、経営委任契約の内容についてご説明させていただきます。

 

1. 経営委任契約が締結される背景

中小企業においては、経営者の人脈・経営手腕・ノウハウといった目に見えないものが、会社が事業を行う上で非常に重要になっていることが少なくありません。M&Aや事業承継により新たなオーナーになる方も、デューデリジェンスの過程でそのような目に見えない資産を認識し、その上で事業価値・譲渡価格を算定することが多いと思われます。
そうしますと新オーナーとしては、M&A・事業承継の実行後も一定期間は従前の経営者に経営に何らかの形で関与してもらい、経営者の人脈などを引き継ぐ必要があります。
経営委任契約が締結される背景にはいくつかのパターンがありますが、このような背景から、従前の経営者と新オーナーの間で経営委任契約を締結することは比較的多いと思われます。

この他にも、経営者が保有するすべての株式を売却せず、一部をそのまま保有させるようなスキームでも、経営者にこれまでと同様に責任をもっていただく目的で、経営委任契約を締結するパターンもあります。

 

2. 経営委任契約の内容

経営委任契約の内容は、新オーナーが従前の経営者に何を期待するかによって異なりますが、主要な条項としては、①従前の経営者が行う業務の内容、②従前の経営者の地位、③従前の経営者が受領する報酬についての定め、④経営委任契約の有効期間、といったものがあります。

上記のうち②については、代表取締役の地位は退任するものの、引き続き取締役として業務に関与するか、あるいは取締役も退任して会長や顧問といった地位に就くか、といったことを決めることになりますが、会長・顧問といった役職には会社法上は特に権限がありませんので、「名誉職」のようなものとご理解ください。

経営委任契約では、上記の内容に加えて新オーナーが従前の経営者に期待する具体的な内容(経営委任契約終了後の競業避止義務など)を、個別に規定することになります。

 

3. まとめ

冒頭で述べたとおり、経営者の皆様はM&Aや社外の第三者への事業承継を「卒業」と考えられている方が多いと思われます。
株式の売却により多額の利益を得る方も多いことを考えると、そのようなご理解も誤りではありませんが、新オーナーとしては従前の経営者から可能な限り引継ぎを行い、事業の価値を維持したいため、経営委任契約の締結を希望されることが多くなっております。

また反対に、M&A・事業承継後も会社に何らかの形で関与することを希望される経営者の方にとっては、経営委任契約の締結を提案することで、一定期間は会社・事業に引き続き関与することも可能となり得ます。

当事務所では、経営委任契約の締結も含めた事業承継・M&Aのスキーム策定から、契約交渉、事業承継・M&A後のサポートまで、一貫したサービスを提供しております。
事業承継・M&Aを検討されている経営者の皆様は、ぜひ一度当事務所までご相談ください。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。

お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

 

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