弁護士コラム

弁護士コラム「社外の第三者への事業承継のメリット・よくある誤解」が掲載されました。

2020.10.02

事業承継というと、かつてはご息女・ご子息をはじめとする親族への株式の贈与・譲渡によるものが一般的でした。

もっとも近年では、社外の第三者に対していわゆるM&Aの手法を利用して事業承継を行う経営者の方も非常に増えております。

このような社外の第三者への事業承継については親族内承継とは異なるメリットもあります。もっとも経営者の方の多くは、これまでにM&Aを経験したことが無いということもあり、第三者への事業承継について誤った理解をされている場合も多く見られます。

そこで本コラムでは社外の第三者への事業承継の概要及びそのメリット、また経営者の方が陥りがちな誤解について解説させていただきます。

 

1. 社外の第三者への事業承継とは

はじめに、社外の第三者への事業承継の概要について解説させていただきます。

最もシンプルな手法は、経営者の方が保有されている株式を時価で第三者に譲渡するものです。この手法における親族内承継との最大の違いは、株式の「時価」での譲渡です。親族内承継の場合には、後継者の方に十分な資金がないことが一般的ですので、経営者が保有されている株式を贈与することが多くなっております。贈与の場合、経営者の方は金銭を受領することができませんので、この点に大きな違いが生じます。

また、社外の第三者への事業承継の手法には様々なものがあり、例えば会社が複数の事業を営んでいる場合において、それぞれの事業を別の承継先に譲渡することもできます。具体的にどのような手法を採用するかは、経営者の方のご希望をベースに、第三者と協議して決定することが一般的です。

 

2. 社外の第三者への事業承継のメリット

社外の第三者への事業承継を選択した場合のメリットですが、株式を時価で譲渡した場合などに経営者の方が金銭を受領できる点は、はじめに挙げられるメリットになります。

また多くの経営者の方にとって、長い時間と労力をかけて成長させた会社・事業が将来にわたって継続していくことが極めて重要であると思われますが、第三者への事業承継においては、基本的には株主である経営者の方が、後継者となる買主を選択することも可能です。そのため、選択肢が限定されている親族内承継の場合と異なり、経営者の方が会社・事業を任せられる後継者を、幅広い選択肢の中から選ぶことができますので、この点も経営者の方にとってのメリットとなります。

なお、社外の第三者への事業承継の場合、通常は証券会社・M&A仲介会社に買主となる会社の探索を依頼することになります。この点についてはこちらのコラムもご参照ください。

 

3. 経営者の方が陥りがちな誤解

上記のとおり、社外の第三者への事業承継には、親族内承継とは異なるメリットがありますが、経営者の方が何らかの誤解をされており、社外の第三者への事業承継に踏み切れない、といったケースも見られます。

その一つが、社外の第三者への事業承継の場合、経営者の方がすぐに会社から追い出されてしまうのでは、というものです。

事業承継の実行後もしばらくは会社の中にとどまり、「会長」「顧問」といった肩書でビジネスに関与していたい、という経営者の方は少なくありませんので、そのようなご心配をされるのももっともかと思われます。

しかしながら社外の第三者としても、事業承継の実行後、経営者の方にすぐに引退されてしまったのでは、会社の内部のことや取引先との関係、また重要なノウハウなどが引き継がれませんので、一定期間は(前)経営者の方にビジネスに関与してほしいと考えるのが通常です。事業承継が実行されたら(前)経営者には直ちに引退してもらう、というケースはむしろ少ないと思われます。

また、「この会社を買ってくれるような買主はいないのではないか?」というご質問をいただくことが多いですが、これは社外の第三者への事業承継の難易度についての誤解と考えております。

もちろん、長年にわたって赤字で、市場環境などを踏まえると今後も回復の見込みがない、といった場合には、買主を探索することは難しいでしょう。

しかしながら、経常利益ベースで一定の利益が確保されており、取引先との関係も良好な会社であれば、社外の第三者への事業承継を検討する余地は十分にあります。

はじめから社外の第三者への事業承継を諦めて廃業を選択するのではなく、証券会社・M&A仲介会社といった専門家と相談されることをお勧めします。

 

4. まとめ

本コラムでは、社外の第三者への事業承継の概要及びそのメリット、また経営者の方が陥りがちな誤解について解説させていただきました。

社外の第三者への事業承継は、少子化が進んでいる日本においては事業承継の有力な選択肢の一つになっています。

当事務所では、株式会社博報堂とアライアンスを締結しており、日本の中小企業の皆様の事業承継を法務の面のみでなく、ビジネス面からもサポートさせていただいております。詳細については「博報堂/TEKOとの取組み」のページをご参照ください。

また、事業承継・M&Aに関しては、初回のご相談を無料で承っておりますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。公認会計士・税理士などの事業承継・M&Aの専門家とワンチームで皆様をサポートさせていただきます。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

 

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