弁護士コラム

弁護士コラム「株式の相続・相続した株式の売却①」が掲載されました。

2021.05.27

中小企業のオーナー経営者が株式を保有したまま亡くなられた場合、相続人間で当該株式の帰属をめぐって争いとなるケースが少なくありません。

また、株式の帰属には問題がない場合でも、経営に関与していない相続人が株式を保有することになった場合、心情的なものを除けば、当該株式をそのまま保有し続ける理由が無いため、当該株式の処理が問題となります。

そこで、①オーナー経営者が保有する株式の相続に関する対応策と、②経営に関与しない相続人が株式を保有することになった場合の処理のポイントについて、2回に分けて解説させていただきます。

 

1. 非上場株式の相続の問題点

まず、相続人が複数人いる場合に、相続財産に株式が含まれていると、当該株式は全ての相続人が共有している状態(遺産共有)となります。株式が遺産共有の状態になると、遺産分割により当該株式の帰属が確定するまでは、いずれの相続人も当該株式についての権利を主張できないことになります。そのため、その他の財産を含めて速やかに遺産分割を行う必要があります。

非上場株式を複数の相続人が分割して保有するメリットはあまりないので、特定の相続人が全株式を相続し、それ以外の相続人はその他の相続財産を取得することで、相続人間の調整を図ることが一般的です。

もっとも、市場価格のある上場会社の株式とは異なり、非上場会社の株式の評価は簡単ではありません。税理士により株式の評価額が異なる結果となることもあり得ますので、遺産分割が難航することもあります。

 

2. 非上場株式の相続対策①:特例事業承継税制

上述した非上場の中小企業の株式の相続に関する問題への対応策として、いくつかの制度が設けられています。

代表的な制度としては、平成30年に制定された特例事業承継税制があります。特例事業承継税制とは、贈与(無償のものに限られます。)または相続の場面において利用することができる制度です。典型的には、経営者が後継者であるご息女・ご子息に対して、自社の株式を生前贈与する際に利用することが考えられます。

株式の生前贈与のケースで特例事業承継税制を利用しますと、まず贈与税の納税が猶予され、経営者の死亡により当該贈与税は免除されます。また、生前贈与により取得した株式については相続税の課税を受けるところ、一定の要件を満たした場合には当該相続税の納税の猶予を受けることができます。

そのため、中小企業のオーナー経営者は自らが保有する自社の株式を、相続に先立ち相続人に生前贈与することで、相続により当該株式が遺産共有状態になることを防ぐことが可能となります。

特例事業承継税制は、非常に便利な制度ではありますが、いくつかの注意点があります。これについてはコラム「特例事業承継税制の注意点」で紹介しておりますので、こちらをご参照ください。

 

3. 非上場株式の相続対策②:経営承継円滑化法

特例事業承継税制に加えて、株式の生前贈与による遺留分侵害の問題に対応する制度として、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)に基づく①除外合意と②固定合意の制度があります。

中小企業のオーナー経営者は、株式を生前贈与することで、当該株式が遺産共有状態となることを防ぐことができるものの、これにより生前贈与を受けていない相続人の遺留分侵害の問題が生じてしまうことが指摘されています。

除外合意・固定合意は、予め相続人間で相続財産となり得る資産を対象に、遺留分算定の基礎から除外することを合意(除外合意)し、また当該資産の遺留分算定における価額を固定することを合意(固定合意)することで、相続開始後に遺留分侵害の問題が生じることを防ぐ制度です。

除外合意・固定合意の詳細については、コラム「事業承継と遺留分② 除外合意・固定合意」で解説しておりますので、こちらをご参照ください。

 

4. まとめ

本コラムでは、オーナー経営者が保有する株式の相続に関する対応策のポイントについて解説させていただきました。

次回のコラムでは、経営に関与しない相続人が株式を保有することになった場合の処理について、紹介させていただきます。

当事務所では、親族内承継・社外の第三者への承継等の事業承継、M&Aのみでなく、オーナー経営者が保有する株式の相続対策についてもアドバイスしております。

初回相談については無料で対応させていただきますので、お気軽にご相談ください。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

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