弁護士コラム

弁護士コラム「事業承継と遺留分② 除外合意・固定合意」が掲載されました。

2020.07.01

※本コラムは「事業承継と遺留分①」の続きとなります。

前回のコラムでは、事業承継を実行する上で相続人の遺留分に配慮することの必要性について解説させていただきました。

特に重要なポイントは、(1)遺留分算定の基礎となる相続財産(遺留分算定基礎財産)には、相続開始時点に被相続人が保有していた財産のみでなく、相続開始前の1年間に贈与された財産も加えられる点、また(2)遺留分の計算にあたっては相続時の価格が基準となるため、生前贈与の実行後に後継者が会社の企業価値を向上させた結果、遺留分侵害が生じてしまうリスクがある点です。

そこで今回は、具体的な遺留分対策として、「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営承継円滑化法)が、遺留分に関する民法の特例として定めている除外合意と固定合意の制度の概要と、事業承継の場面でのこれらの制度の活用方法について解説させていただきます。

 

1. 除外合意

除外合意とは、後継者が経営者から取得した株式の価額を、遺留分算定基礎財産に算入しないことができるという制度です(経営承継円滑化法4条1項1号)。
除外合意を利用すれば、そもそも会社の株式が遺留分算定基礎財産に含まれませんので、生前贈与の実行後に後継者が会社の企業価値を大幅に向上させた場合でも、それのみを理由として遺留分侵害が生じることはありません。

さらに、除外合意を利用すれば、会社の株式は遺留分侵害請求の対象からも除外されることになっております(経営承継円滑化法9条1項)。

 

2. 固定合意

固定合意とは、遺留分算定基礎財産に算入される株式の価額を、事前に固定することができるという制度です(経営承継円滑化法4条1項2号)。
固定合意を利用した場合、会社の株式は遺留分算定基礎財産に含まれるものの、その価額については固定合意を行った時点の価額に固定されます。

そのため、予め遺留分の侵害が生じないような形で生前贈与を行っていれば、その後に後継者が会社の企業価値を大幅に向上させた場合でも、それのみを理由として遺留分侵害が生じることはありません。

 

3. 除外合意・固定合意の手続、付随合意

固定合意・除外合意の効力を生じさせるためには、相続人間で固定合意・除外合意の具体的な内容を定めた合意書面を作成するだけでは足りず、経済産業大臣の確認を受けた上で、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
また、除外合意・固定合意の際に「付随合意」という形で、株式以外の財産の価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことが可能です(経営承継円滑化法6条)。

そのため、例えば後継者以外の相続人が経営者から生前贈与を受けた財産がある場合には、付随合意により当該財産についても遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことによって、後継者以外の相続人が不利益を被らないよう調整することができます。

 

4. まとめ

ご親族への事業承継を検討されている場合、固定合意・除外合意は非常に便利な制度ですが、家庭裁判所の許可を得るなどの点で法律事務所のサポートが必要になると思われます。当事務所では、事業承継をどのようなスキームで行うべきか、固定合意・除外合意を利用する必要があるかといった点を含め、事業承継を総合的にサポートさせていただいております。

事業承継を円滑に進める上ではできるだけ早く準備に着手することが必要ですので、ご親族への事業承継を検討されている経営者の皆様は、一度当事務所までご相談ください。

 

※本コラムの内容は、一般的な情報提供であり、具体的なアドバイスではありません。

お問い合わせ等ございましたら、当事務所までご遠慮なくご連絡下さいますよう、お願いいたします。

 

 

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